今年のリアルは石畳チョコを作りました。

そして職場の一緒に仕事しているねーちゃんにあげました。男性陣にはあげないのが早太クオリティ。


急造ではありますが、時期ネタ（1日過ぎた）
もし興味ある方は『つづき』からどうぞー。

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　あいつの気持ちなんて、知る訳がなかった



－　バレンタイン＋チョコレート＝？　－



　斉藤と一本木が一緒にスーパーへと買い出しに行ったのは数日前のことだ。
　入口すぐの、誰の目でもに留まる位置の陳列棚には『2/14はバレンタインデー』の文字と既に色とりどりの包装が施された箱や袋が並んでいる。
「へえ、もうそんな時期かぁ」
　一本木が独り言のように呟くと、かごを持って前を歩いていた斉藤が振り向いた。
「お前もそういうの気にするのか？」
「んー、別に。斉藤さんからは確実にもらえるし」
　笑いながら言う一本木に、斉藤の眉が顰められた。
　その顔に不思議そうな視線を投げるが、斉藤は黙って溜息を一つ吐くと店奥へとさっさと進んでいく。
　それを慌てて追いかけるが、店内では話せそうな雰囲気ではなくなってしまい、一本木はただ口を噤んで斉藤の買い物について歩いていた。

　二人で大きなビニール袋を提げて帰る途中。
「斉藤…さん？」
　先に話し掛けたのは一本木だ。
　特に返事もなく、黙って一本木を見た斉藤に思わず言葉を飲み込んでしまう。
　そのまま下を向いて、足を止めてしまった一本木と先を歩いてしまう斉藤との距離は開いていく。
　しかし、数メートル先で止まった斉藤が振り返ると一本木を呼んだ。
「置いていくぞ」
「待ってくださいよ」
　慌てて顔を上げた一本木が小走りで斉藤の側に行くと、斉藤の足が進んだ。
　先程よりも幾分かゆっくり歩く斉藤に、一本木が歩調を合わせる。
　すると斉藤が口を開いた。
「去年…」
「はい？」
「チョコは受け取ったんだよな？」
「去年…？」
　一本木の記憶にあるのは、田中が自分の家までチョコを持ってきたという事。
「田中がチョコ持ってきた…けど、」
　しかし、それがどうしたのか。
　斉藤が何を言いたいのか全くわからない一本木には、徐々に苛立ちが募る。
　眉間を寄せて、後ろ頭をガシガシと掻き毟り、なにやらブツブツと呟いている。
「だって、それは斉藤さんのお使いのヤツじゃん…」
　その言葉に斉藤は何もかも察した。
　田中は去年、あのチョコを渡す際に『自分からだ』とは言わなかったのだろう。
　一つ小さく咳払いをすると、斉藤は子供の頭をあやすように軽く叩いてきた。
　何がなんだか全く分からない一本木は、一人納得している斉藤にムッとした視線を投げる。
「何なんッスか、斉藤さん…」
「…いや、俺が悪かった」
　そう言うと、斉藤が一本木の顔を見た。
「お前は、チョコあげないのか？」
「誰に？」
「田中」
「…はぁ？」
　斉藤の言うことが、やはり突拍子もなさ過ぎて一本木にはついていけない。
　ポカンとした顔で斉藤を見やると、斉藤が柔らかい笑顔で一本木を見た。
「いつも頑張っている後輩にあげる、って言うのも一興だと思うけどな」
「えー…、だったら斉藤さんとか団長とか、こう世話になってる人にあげるべきなんじゃないんスか？　ほら、なんつったけ…」
　どうやら友チョコとかそういうものを言っているのだろう。
　しかし斉藤は一本木の肩を寄せると、耳元で囁いた。
「お前が田中にあげれば、驚くけど、きっとあの可愛い後輩は喜ぶぞ？　意外なことしてくれたりするかも」
「意外…な？」
　その言葉に、一本木の頭に何が浮かんだのか。
　急に顔を真っ赤にして口元を押さえる。
　そして、何かを考えると一本木は持っていた袋を斉藤に預けて踵を返した。
「すんません！　お、俺、ちょっと忘れ物したから、もいっかいスーパー行ってくるッス！」
「おう、先戻ってるな」
「すんません！」
　そういうと、一本木は来た道を駆け出して戻っていく。


　さて、一本木は一体何を考えたのか。
　一本木の脳内のことなど知る由もない斉藤は、その後ろ姿を満足気に見送ると、先に団室へと戻っていった。



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オチとしては、一本木が買いに行ったのはチョコシロップです。察してください（笑）
というか、昨年の展開を間違えて覚えていたので軌道修正したら一本木がぁぁぁ（爆笑）