西園寺（→一本木）

いやぁぁぁぁぁぁぁぁ（悲鳴）

すっごい久しぶりに書いたら、凄いことになりました（自分的に）
いくらなんでもこれはひどい。でも公開。見せたがりです。
なんか石ぶつけられるかもしれないけど、ここは開き直るしか…。

もし興味ある方は『つづき』からどうぞ。

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　街を彩るイルミネーションと刺すような冷えた空気は、心臓をギュッと締めつけてくる。
　この景色は、あの想いと良く似ているんだと感じた。



－恋、という鎖－　



　街中をロングコートと長い髪を靡かせて闊歩していた青年が、ふと足を止めた。
　彼の目線の先には、小さく煌びやかな光が街路樹を纏って普段と違う顔を見せていた。
　そして足を止めた理由は、少し横にずらした視線に止まったものが物語っている。
「…そうか、クリスマスか…」
　呟いた言葉は、白い息と共に空気に溶けて消える。
　その立ち姿に、道行く人が目を奪われていることに本人は気がついていないだろう。

　朝日町応援団リーダー・西園寺隼人。

　いつもであれば、抜けるような空を思わせるブルーの学ランに身を包み、繊細に光る金の髪と白い鉢巻を靡かせ、真っ直ぐな思いで人々にエールを送っている。
　ところが今日はいつもと違い、社交界の人物そのものの格好で居た。
　コートから覗いているスーツは仕立ての良さがわかり、ワイシャツとバランスが取れたネクタイの色合いもまた落ち着いている。
　その出で立ち、雰囲気、彼自身の全てから育ちの良さが伺えた。
　彼は本来であれば、小さなあの町で応援団などということをしている人物ではいけなかった。
　誰しも一度は聞いたことのあるような財閥の子息、そんな彼が応援団に身を置ける一つの理由。
　それは年に数度、必ず家の行事などに顔を出すことだった。
　今日は、その数度の行事の一つである社交界への顔出しの日で、今はその帰りだったのだ。
「そういえば、会場にもあったな」
　できるだけ壁の花になろうとした彼の目にとまった、中心部の大きなホワイトツリー。
　それを意識せずに見ていたところで自分の名を呼ばれ、溜息混じりに壁から離れたことだけを覚えている。
　紹介される令嬢方々を作った笑顔でもてなしながら、時折窓の外に視線を投げてみたりして時間をやり過ごした。
　やっとその席から解放されたのも束の間、帰路に着いた車中も息苦しく感じた彼は車を降り、途中から歩いていた時に、このイルミネーションに辿りついていたのだ。
「…綺麗なものだな」
　あの場では気にならなかったクリスマスツリーも、今はこんなに輝きを放っている。
　頬を撫でていく冷えた風は、ゆらりとその光を揺らしていた。
　そして、その光に吸い込まれるように街路樹の中を歩き出す。
　すれ違う人はカップルだったり、数人のグループで賑やかにしていたりと様々で。
　そんな人達の合間を縫いながら光の競演を眺めていた時、ポケットに入れていた手が何かを触った。
　握って取り出したそれは、携帯電話。
　それを開くと手早く操作して、イルミネーションに向かって携帯電話を構えた。

　カシャリ。

　機械音が寂しく耳に響く。
　彼は、その画面に写し出されたものをじっと見ていた。
　暗闇と光の競演、今の時期だけ盛り上がる街並。
　実際の目で見るものとは違うけど、何となくだが収めたかった。
「……一体、今頃何をしているのだろうな……」
　画面を見ながら思い出す、彼の事。
　赤黒い髪に深紅の襷、黒の長ランを靡かせ、自分とは対極にいる男。

　一本木龍太。

　ただライバルだと思っていたのに、いつしか惹かれていた。
　その想いが、本来女性に向けられるべき『恋』という感情だったと気が付き、彼にそれを告げた。
　一方的な自己満足だ、と判っていた。
　でも、あの時に言わなくてはいけないような気がしたからこそ…。
　そして彼は応えてくれたが、ずっと感じた違和感があった。
　その違和感は今でも拭えない。
　だが今の関係も壊したくなかったから、ずっと秘めたままでいる。
　それが今、思い出された。
　携帯電話に収められたこの光景が、西園寺の胸を締め付けていく。
　突然感じた切なさは、彼の端正な顔に小さな歪みを作り、呼吸をほんの少しだけ乱していく。
　携帯電話から視線を外すと視界に入る、そのイルミネーションは写真と違い冷たい風と暗闇を携えて寂しげな星のように瞬いていた。

「この景色はー…」

　恋と、似ている。
　そう呟こうとした言葉は、声にならず西園寺の胸の中へと溶けて消えた。


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イルミネーションって華やかなんだけど物悲しくないですか？
ん？　そんなこと思うのお前だけだって？　ハハハ、うるさいっ。

西園寺はどっかの財閥子息だと信じてます。初めてそんな描写を書いたけどな。
実は、脳内ではこの後があるけど割愛。